最近、深く眠れた感じがしない、早朝に目が覚める、夜中に何度も起きると感じている中高年の方や家族に向けた記事です。こうした変化の多くは加齢に伴ってよく見られるもので、それ自体が異常とは限りません。一方で、日中の強い眠気や気分の落ち込みなど生活への支障があれば、年齢のせいと片づけず見直しや相談の対象になります。付き合い方の基本と相談の目安を整理します。
結論:変化を前提にしつつ、困りごとは放置しない

加齢による睡眠の変化は、深い眠りの減少、早寝早起きへの移行、夜間の目覚めの増加などが代表的です。これらは多くの人に起こりうる変化で、それ自体が異常とは限りません。一方で、日中の強い眠気、気分の落ち込み、転倒しやすさ、家事や外出がつらいといった支障があるなら、睡眠以外の病気や薬の影響も含めて確認する価値があります。
なお、「年をとれば誰でも睡眠時間が短くてよい」とは言い切れません。必要な睡眠には個人差があり、睡眠は量だけでなく、眠る時間帯、眠りの質、日中にどれだけ活動できるかをあわせて考えることが大切です[1]。
加齢で起こりやすい睡眠の変化
- 深い眠りが減る:ノンレム睡眠のうち深い段階が少なくなり、眠りが浅く感じやすくなります。
- 早寝早起きになる:夕方から眠くなり、早朝に目が覚める傾向が出やすくなります。
- 夜中に目が覚める:トイレや物音、体の痛みなどで途中覚醒が増えることがあります。
- 日中にうとうとする:夜の眠りが分断されると、昼間に眠気を感じやすくなります。
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しながら進み、その長さは一定ではありません。眠りの仕組みについては睡眠周期の解説も参考にしてください。
加齢で睡眠が変わる理由
背景には、体内時計のリズムの変化、日中の活動量や日光を浴びる機会の減少、持病や服用している薬、夜間頻尿や痛みなど、複数の要因が重なっていると考えられます。退職などで生活リズムが変わり、起床・就寝時刻がばらつくことも影響します。
大切なのは、症状だけで原因を一つに決めつけないことです。眠りの浅さの陰に、いびきや呼吸の乱れが隠れている場合もあります。
「寝床にいる時間」と「眠っている時間」は別物
眠れないからと早めに布団に入ったり、朝もしばらく横になっていたりすると、寝床で眠れずに過ごす時間だけが長くなることがあります。眠りがまとまらず、休養感が得にくくなる場合もあります。厚生労働省の高齢者向けガイドでは、長すぎる床上時間を避けることや、日中に体を動かすことの重要性が示されています[3]。
例えば、夜9時に寝床に入り朝6時まで横になっていても、実際に眠っているのが6時間ほどなら、残りの時間は「眠れずに過ごしている時間」です。眠くなってから寝床に入り、起床時刻を一定にするだけで、眠りがまとまりやすくなる人もいます。
見直しのチェック表
| チェック項目 | 見直しの例 |
|---|---|
| 起床時刻が日によってばらつく | 休日も含めて起きる時刻をそろえる |
| 眠くないのに早く寝床に入る | 眠気を感じてから布団に入る |
| 朝起きても長く横になっている | 起きたらカーテンを開け、朝の光を浴びる |
| 昼寝が長い・夕方に寝てしまう | 昼寝は短めにし、夕方以降は避ける |
| 日中ほとんど体を動かさない | 散歩や家事など、できる範囲で活動を増やす |
| 夕方以降にカフェインやお酒をとる | 就寝前の飲酒やカフェインを控える |
寝室の明るさや温度、就寝前の過ごし方など一般的な睡眠習慣の整え方も、年齢を問わず役立ちます[2]。ただし、これらは生活の見直しであり、症状の改善を保証するものではありません。
相談を考えたい目安
- 家族から、睡眠中に呼吸が止まる、あえぐような呼吸、大きないびきを指摘された
- 日中の強い眠気で生活に支障がある、うたた寝で危ない場面がある
- 眠れない状態が続き、気分の落ち込みや意欲低下がある
- 夜間のトイレ、足のむずむず感、痛みなどで何度も目が覚める
- 新しい薬を飲み始めてから眠りが変わった
こうした場合はかかりつけ医などに相談しましょう。服用中の薬は自己判断でやめず、医師や薬剤師に確認してください。眠気が強いときは車の運転を控えることも大切です。睡眠中の呼吸が気になる場合は睡眠時無呼吸の基礎知識もあわせて確認できます。
よくある質問
年をとったら睡眠時間は短くてもよいのですか?
一律には言えません。必要な睡眠時間は人によって異なります。時間の長さだけでなく、日中に眠気や不調なく過ごせているかを目安に考えましょう。
夜中に1回目が覚めるのは問題ですか?
すぐに眠り直せて日中も元気なら、心配しすぎる必要はないことが多いです。何度も目が覚めて眠れない、日中に支障があるといった場合は相談を検討してください。
まとめ
加齢とともに深い眠りが減り、早寝早起きや夜間の目覚めが増えるのはよくある変化です。床上時間を長くしすぎず、起床時刻をそろえ、日中に活動することが付き合い方の基本になります。一方で、呼吸の異常や強い眠気、生活への支障があるときは、年齢のせいと決めつけず医療機関に相談しましょう。
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参考文献
- 厚生労働省 睡眠対策・睡眠ガイド2023:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html(確認日:2026年10月26日)
- NHLBI Healthy Sleep Habits:https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-deprivation/healthy-sleep-habits(確認日:2026年10月26日)
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023 高齢者版:https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf(確認日:2026年10月26日)



