なかなか眠れない、眠っても疲れが残るという方に向けて、睡眠の質を上げるための習慣を時間帯別に整理します。特別な道具は不要で、起床時刻をそろえる、朝の光を浴びる、夜の飲酒やスマホを控えるなど、取り組みやすいものを1〜2個選んで2週間続け、眠れた時間と朝の休養感で変化を確かめる方法をおすすめします。
結論:質の目安は「眠れた時間」と「休養感」

睡眠の質を考えるときは、寝床にいた時間ではなく、実際に眠れた時間と、起きたときに休めたと感じられるかを見ます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠時間の確保に加えて、睡眠で休養がとれている感覚(睡眠休養感)が重視されています[1]。また、眠れないまま長く寝床で過ごすことは、かえって休養感を下げる場合があるとされています[1]。
成人に必要な睡眠時間には個人差があり、同ガイドは6時間以上をおおむねの目安としています[1]。これは目安の一つで、6時間で全員が十分という意味ではありません。
睡眠のリズムを知っておく
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠が交互に現れ、ノンレム睡眠は浅い段階から深い段階まで3段階に分けられます。深いノンレム睡眠は夜の前半に多く、レム睡眠は夜の後半に増える傾向があります。一つの周期はおおむね80~100分程度で、人や夜によって一定ではありません[3]。そのため「90分の倍数に合わせれば目覚めがよくなる」と考えて睡眠を削るのは避けましょう。仕組みは睡眠サイクルの解説で詳しく紹介しています。
朝に見直したい3つの習慣
1. 起きる時刻をそろえる
体内時計を整える基本は、寝る時刻より起きる時刻を一定にすることです[2]。休日も平日から大きく起床時刻がずれないように工夫します。
2. 起きたら光を浴びる
起床後すぐにカーテンを開ける、ベランダに出る、通勤で少し歩くなど、朝の光を取り入れます。夜に自然な眠気が来やすくなる助けになります。
3. 朝食をとる
毎朝おおむね同じ時間に朝食をとることも、1日のリズムを作るきっかけになります。量が少なくても構いません。
日中に見直したい3つの習慣
4. 体を動かす
日中の運動習慣は眠りによい影響を与えることがあります[2]。エレベーターを階段に変える、昼休みに10分歩くなど、続けられる量から始めましょう。激しい運動は就寝直前を避けます。
5. 昼寝は短く、早い時間に
眠気が強い日は、午後の早い時間に20分前後の仮眠をとります。夕方以降の長い昼寝は夜の寝つきに影響しやすくなります。
6. カフェインの時間を決める
コーヒー、緑茶、エナジードリンクなどのカフェインは、時間がたっても作用が残ることがあります[2]。「15時以降は控える」など自分なりの区切りを決めておくと続けやすくなります。
夜に見直したい6つの習慣
7. 夕食と飲酒は寝る直前を避ける
お酒は寝つきを助けるように感じても、夜後半の眠りを浅くすることがあります[2]。寝酒を習慣にせず、夕食は就寝の2~3時間前までに済ませるのが目安です。
8. 入浴は就寝の1~2時間前に
ぬるめのお湯に浸かると、上がった体温が下がる過程で眠気を感じやすくなるといわれます。熱すぎるお湯や寝る直前の入浴は避けましょう。
9. 画面と照明を少し暗くする
寝る前の明るい画面や照明は眠りを妨げることがあります[2]。就寝前の30~60分はスマートフォンを寝室の外に置く、照明を暖色系にするなどから試します。
10. 寝室を暗く、静かに、快適な温度に
遮光カーテンや耳栓を使い、暑さ・寒さを感じない室温にします。寝具は補助として見直す程度で十分です。
11. 考えごとを寝床に持ち込まない
翌日の予定や気がかりは、寝る前にメモに書き出しておくと頭を切り替えやすくなります。ストレスと眠りの関係はストレスと睡眠で解説しています。
12. 眠くなってから布団に入る
眠くないのに早く布団に入ると、寝床で過ごす時間ばかり長くなります。眠れずつらい状態が続くときは、時計を繰り返し確認するより、一度寝床を離れて、薄暗い部屋で静かに過ごし、眠気が来てから戻ります。
2週間の試し方とチェック表
選んだ習慣を2週間続け、毎朝次の項目を記録します。変化が分かりにくい場合は、別の習慣に入れ替えてみましょう。
| 記録する項目 | 記録の例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 試している習慣 | 起床7時固定、15時以降カフェインなし | 無理なく続いているか |
| 寝床にいた時間 | 23:30~7:00 | 眠れた時間との差が大きすぎないか |
| 眠れたと感じる時間 | 約6時間半 | 前の週より増えたか |
| 朝の休養感 | 5段階で3 | 休めた感覚が上向いているか |
| 日中の眠気 | 午後に少し | 仕事や家事に支障がないか |
枕や照明などのグッズは役立つこともありますが、生活リズムの見直しや受診の代わりにはなりません。まずは習慣を整え、それでも改善しない不調は専門家に相談する順番で考えましょう。
受診や相談を考えたいとき
次のような状態がある場合は、かかりつけ医や睡眠外来に相談してください。習慣の見直しは治療を保証するものではありません。
- 寝つけない、途中で目覚めるといった状態が続き、日中の生活に支障がある
- 十分寝ても強い眠気があり、運転中や作業中に眠りそうになる
- いびきの途中で呼吸が止まる、あえぐと家族に言われた
- 気分の落ち込みが強く、眠れない日が続いている
朝のだるさが続く場合は朝起きても疲れている原因も参考にしてください。服用中の薬は自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
よくある質問
12の習慣はすべて守らないと効果がありませんか?
すべてを同時に守る必要はありません。一度に多くを変えると続かず、どの習慣が合っていたのかも分かりにくくなります。まずは起床時刻をそろえるなど、取り組みやすい1~2個から始めるのがおすすめです。
長く寝れば睡眠の質も上がりますか?
必要な睡眠時間を確保することは大切ですが、眠れないまま寝床にいる時間を延ばしても休養感は上がりにくいことがあります[1]。眠れた時間と朝の感覚をあわせて確認しましょう。
まとめ
睡眠の質は、朝・日中・夜の小さな習慣の積み重ねで整えていくものです。12の習慣から取り組みやすいものを選び、眠れた時間と休養感で効果を確かめましょう。グッズは補助にとどめ、日中の生活に支障がある不調や睡眠中の呼吸の異常が続くときは、医療機関に相談してください。
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参考文献
- 厚生労働省 睡眠対策・健康づくりのための睡眠ガイド2023:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html(確認日:2026年10月26日)
- NHLBI Healthy Sleep Habits:https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-deprivation/healthy-sleep-habits(確認日:2026年10月26日)
- NHLBI Sleep Phases and Stages:https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep/stages-of-sleep(確認日:2026年10月26日)


