眠れていない気がするのに、いつから・どのくらいかをうまく説明できない方に向けて、睡眠日誌のつけ方を紹介します。睡眠日誌は眠りの良し悪しを判定する道具ではなく、生活と眠りの傾向を振り返るためのメモです。寝床にいた時間と眠ったと感じる時間を分けて書くなどの基本を押さえ、まずは1〜2週間、書ける範囲で続けることをおすすめします。
大切なこと
睡眠日誌は、病気を診断したり治療したりするものではありません。記録した数値だけで「自分は〇〇だ」と自己判断せず、気になる状態が続くときは医療機関や保健師などの専門家に相談してください。
睡眠日誌とは|眠りを「判定」ではなく「振り返る」ためのメモ

睡眠日誌の役割は、記憶や印象に頼りがちな眠りの状態を、文字や数字として残しておくことです。
眠りについての感覚は、直近の一晩や、特につらかった日の印象に引っ張られやすいものです。毎日少しずつ書き留めておくと、「平日と休日で時間帯がずれている」「寝床にいる時間のわりに眠った感覚が短い」といった自分の傾向が見えやすくなります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に準拠した睡眠チェックシートでも、就床時刻・起床時刻・実際に眠っていた時間・睡眠休養感を1週間記録する形式が示されています。睡眠日誌は、こうした記録を自分の生活に合わせて行うものと考えるとよいでしょう。
睡眠日誌に記録したい基本項目
まずは次の6項目から始めるのがおすすめです。項目を絞ることで、毎日の負担を小さくできます。
| 項目 | 書き方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 寝床に入った時刻 | 23:00 | 眠りについた時刻ではなく「寝床に入った」時刻 |
| 起床時刻(寝床を出た時刻) | 6:30 | 目が覚めた時刻と寝床を出た時刻がずれる場合は両方書いてもよい |
| 実際に眠ったと感じる時間 | 約6時間 | 自分の感覚での概算でかまわない |
| 途中で起きた回数・時間 | 2回・合計30分くらい | 覚えている範囲でよい |
| 日中の眠気 | 強い/少し/なし | 会議中や運転中など、場面もメモすると振り返りやすい |
| 休養感 | 1〜5の5段階 | 朝起きたときに「休めた」と感じるか |
寝床にいた時間と、眠ったと感じる時間を分ける
睡眠日誌で特に大切なのが、寝床にいた時間(床上時間)と実際に眠っていた時間を分けて書くことです。
床上時間は「起床時刻 − 前日に寝床に入った時刻」で計算できます。たとえば23時に寝床に入り6時に寝床を出た場合、床上時間は7時間です。一方で、寝つくまでに時間がかかったり、夜中に目が覚めていたりすれば、実際に眠っていた時間はそれより短くなります。途中で目が覚めていた時間は、睡眠時間に含めずに考えます。
この2つを分けておくと、「寝床には長くいるのに、眠った感覚は短い」といった状態に気づきやすくなります。
休養感は5段階で記録する
休養感(睡眠休養感)とは、「睡眠で休養がとれた」と感じる感覚のことです。厚生労働省の資料では、睡眠の質を自分で判断するのは難しいものの、朝目覚めたときの休養感がひとつの目安になると説明されています。
チェックシートでは「非常に良い(5)〜非常に悪い(1)」の5段階で記録する形式です。細かく考えすぎず、起きたときの直感で数字をつけましょう。
記憶が曖昧なら、起床後に概算で書く
夜中に何回起きたか、何分眠れなかったかを正確に覚えている人はほとんどいません。夜中に時計を確認しながら記録しようとすると、かえって目が冴えてしまうこともあります。
起床後に、覚えている範囲で「だいたい」で書けば十分です。
睡眠日誌で見たいのは日々の細かな数値ではなく、1〜2週間を通した傾向だからです。
余裕があれば記録したい項目
基本項目に慣れてきたら、生活の様子も一緒に書き留めておくと、振り返りの手がかりが増えます。
- 昼寝:時刻と長さ(例:13:00〜13:20)
- カフェイン:コーヒーやお茶、エナジードリンクなどを飲んだ量と時間帯
- 飲酒:量と時間帯、寝る前に飲んだかどうか
- 勤務形態:日勤・夜勤・在宅勤務・休日など
- 運動:運動した日かどうか、おおよその時間帯
- 就寝前の画面使用:寝床でスマートフォンやタブレットを使ったかどうか
厚生労働省の資料でも、寝床での電子機器の使用、カフェインや飲酒、運動習慣などが、眠りと関わる生活習慣として挙げられています。
因果関係は自分で断定しない
ただし、記録を見て「お酒を飲んだ日は眠りが浅いから、原因はお酒だ」と自分で結論づけるのは控えましょう。同じ日に仕事の忙しさや体調など、別の要因が重なっていることもあります。
これらの項目は、原因を突き止めるためではなく、相談するときに状況を説明しやすくするための材料として残しておく、という位置づけがちょうどよいでしょう。
睡眠日誌を続けるコツ
睡眠日誌は、続けてこそ傾向が見えてきます。とはいえ、毎日きちんと書こうとすると負担になりがちです。続けるためのポイントをまとめます。
完璧を目指さず、まずは1〜2週間
結論から言うと、最初は1〜2週間を目安に、書ける範囲で続けることが大切です。
厚生労働省のチェックシートは1週間の記録を想定しています。[2]平日と休日の両方を含めて振り返るには、少なくとも1週間分あると比べやすくなります。余裕があれば2週間ほど続けると、たまたまの1日に左右されにくくなります。
書き忘れた日があっても、そこでやめる必要はありません。空欄のまま翌日から再開すれば十分です。
「実際の時刻」と「感覚」を区別して書く
睡眠日誌には、時計で確認できる実時間(寝床に入った時刻、起床時刻)と、自分の感覚(眠ったと感じる時間、休養感、日中の眠気)が混ざっています。
- 実時間:時計やアラームの記録をもとに書く
- 感覚:「〜と感じた」「だいたい」と分かる書き方にする
この区別をしておくと、あとで見返したときや、医師などに見せたときに読み違えを防げます。
記録のタイミングを決めておく
「朝起きて歯をみがいたら書く」「朝食の前に書く」など、毎日の行動とセットにすると習慣にしやすくなります。日中の眠気や飲酒など夜の情報は、寝る前に一言だけメモしておき、翌朝まとめて書く方法もあります。
紙のノート、手帳、スマートフォンのメモ、表計算ソフトなど、自分が続けやすい方法を選びましょう。
アプリを使うときは個人情報の扱いも確認する
睡眠記録アプリやウェアラブル端末を使えば、入力の手間を減らせます。一方で、睡眠や体調、飲酒の記録は個人の健康に関わる情報です。利用前に次の点を確認しておくと安心です。
- どのような情報が取得・保存されるか
- データが第三者に提供される可能性があるか(プライバシーポリシーの確認)
- 不要になったときにデータを削除できるか
- 端末のロックなど、他人に見られない工夫をしているか
また、端末が自動で計測した値と、自分が感じた眠りの感覚は一致しないこともあります。どちらかを正解と決めつけず、両方を参考情報として残しておくとよいでしょう。
睡眠日誌の見方|単日ではなく「傾向」を眺める
記録がたまったら、1日ごとの数値で一喜一憂するのではなく、1〜2週間をまとめて眺めるのが基本です。眠りは日によって変動するのが自然で、1日だけ短かった・休養感が低かったからといって、それだけで何かを判断することはできません。
見るときのポイントは、主に次の3つです。
1. 平日と休日の差
平日と休日で、寝床に入る時刻・起きる時刻・眠った時間がどのくらい違うかを見てみましょう。
厚生労働省のチェックシートでは、平日と休日に分けて平均を出す方法が紹介されています。また、休日の睡眠時間が平日より長い場合、普段の睡眠が足りていない可能性があることにも触れられています。
2. 寝床にいた時間と、眠った感覚の差
床上時間と、実際に眠ったと感じる時間を並べてみます。寝床にいる時間に比べて眠った感覚が大きく短い日が続いていないか、確認してみましょう。
3. 休養感の推移
休養感の点数を1週間分足し、日数で割ると平均が出せます。どの日に高く、どの日に低かったかをざっと眺めるだけでも、振り返りの手がかりになります。
注意:ここで紹介した見方は、あくまで自分の傾向を把握するためのものです。記録の数値だけで病気の有無を判断することはできません。気になる傾向があるときは、自己判断せず専門家に相談しましょう。
眠りを整える具体的な工夫を知りたい方は、睡眠の質を高めるための関連記事もあわせてご覧ください。
睡眠日誌を医療機関への相談に活かす方法と相談の目安
睡眠日誌は、医療機関や保健師などに相談するときにも役立ちます。診察の場で「いつから」「どのくらいの頻度で」「どんな日に」を説明しようとしても、記憶だけでは曖昧になりがちです。1〜2週間分の記録があれば、普段の眠りの様子を具体的に伝えやすくなります。
相談を考えたい目安
厚生労働省の資料では、生活習慣や睡眠環境を見直しても眠りの悩みが続く場合には、睡眠障害が隠れていることもあるとして、医師や保健師への相談が勧められています。たとえば、次のような状態が続くときは、早めの相談を検討しましょう。
- なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める状態が長く続いている
- 十分に眠っているつもりでも、日中に強い眠気がある・居眠りをしてしまう
- 家族などから、睡眠中のいびきや呼吸が止まっていることを指摘された
- 望ましい時間に寝起きすることができない
- 夜に脚がむずむず・そわそわして眠りにくい
- 眠れないこと、眠気が強いことで、仕事や家事など日中の生活に支障が出ている
夜中に目が覚めることが気になる方は夜中に目が覚める悩みについての記事、寝ても眠いと感じる方は寝ても眠い原因についての記事も参考にしてください。ただし、どの記事の内容も自己診断の材料ではなく、相談前の情報整理として活用してください。
受診時に持参するとよいもの
- 睡眠日誌(1〜2週間分。書けていない日があってもかまいません)
- 気になっている症状と、それがいつ頃から続いているかのメモ
- 服用中の薬やサプリメントの一覧
- 家族などから指摘されたこと(いびき、呼吸、寝言・体の動きなど)
医療機関から指示があれば、そちらを優先する
すでに医療機関にかかっていて、記録の方法や期間、使う用紙などについて指示がある場合は、その指示を優先してください。この記事で紹介した方法は、あくまで一般的な記録の例です。
よくある質問
睡眠日誌はどのくらいの期間つければよいですか?
まずは1〜2週間を目安にするとよいでしょう。平日と休日の両方を含めて振り返るには、少なくとも1週間分あると比べやすくなります。医療機関から期間の指示がある場合は、それに従ってください。
夜中に起きた回数や時間を正確に覚えていません。どう書けばよいですか?
起床後に、覚えている範囲で概算を書けば十分です。「2回くらい」「30分ほど」といった書き方でかまいません。夜中に時計を見て正確に記録しようとすると、かえって目が覚めてしまうこともあります。分からない項目は空欄でも問題ありません。
睡眠日誌をつければ、自分が睡眠障害かどうか分かりますか?
分かりません。睡眠日誌は眠りと生活の傾向を振り返るためのメモであり、病気を診断したり治療したりするものではありません。記録を見て気になる点があったり、つらい状態が続いたりする場合は、記録を持って医療機関や保健師などに相談してください。
まとめ
- 睡眠日誌は、眠りの良し悪しを判定するものではなく、生活と眠りの傾向を振り返るためのメモ
- 基本項目は、寝床に入った時刻、起床時刻、眠ったと感じる時間、途中で起きた回数・時間、日中の眠気、休養感の6つ
- 余裕があれば、昼寝・カフェイン・飲酒・勤務形態・運動・就寝前の画面使用も記録する。ただし因果関係は自分で断定しない
- 完璧を目指さず、まずは1〜2週間。実時間と感覚を区別して書く
- 見るときは単日の値ではなく、平日と休日の差、床上時間と眠った感覚の差、休養感の推移を眺める
- 記録だけで自己診断はせず、気になる状態が続くときは記録を持って専門家に相談する
まずは今夜寝床に入った時刻と、明日の朝の休養感から書き始めてみましょう。
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参考文献
- 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質 大丈夫ですか?」https://kennet.mhlw.go.jp/slp/event/sleep_quality/index.html(確認日:2026年10月27日)
- 厚生労働科学研究班(令和5年度)「睡眠チェックシート/アドバイスシート(『健康づくりのための睡眠ガイド2023』準拠、2024年12月版)」https://kennet.mhlw.go.jp/tools/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/advice-sleep.pdf(確認日:2026年10月27日)



